いつも私のことを思ってくれて感謝
彼、「緊張する」
私、「緊張するような家じゃないわよ」
彼が緊張しているのは、私の親に婚約の挨拶をするから。
彼、「やっぱり、昼間に来たほうが良かったんじゃないかな?」
私、「良いのよ夜で」
親からも、婚約者を連れて来るなら昼間にしなさいと、言われていたのだが、昼間だと実家がボロいのが分かるから夜にした。
私の実家は線路沿いに建っているため、電車の中から見えたのだが、1年ぶりに見た実家は外壁塗装がされキレイになっていた。
外壁塗装をしてくれるのは嬉しいのだが、気分は複雑。なぜなら、外壁塗装にお金を使うと、家の中のリフォームはしてないだろうから。
彼、「ここ?」
私、「うん」
私、「ちょっと待ってて」
先に実家に入ったのは、どうせ、インターホンは故障で鳴らないだろうから。
私が婚約者を連れて来ることを伝えてあったため、玄関ドアの鍵は開いていた。
私、「お母さん?」
母親が中々出て来なかったのは、チャイムを鳴らされると思い、インターホンの前で待っていたから。
母親、「せっかく新しいのに変えたのだからインターホンを鳴らしてよ」
私、「入って良いわよ」
彼氏、「失礼します」
母親、「はじめまして、〇〇の母親です」
彼氏、「はじめまして、△△です」
私、「お父さんは?」
母親、「リビングにいるわよ」
母親の言葉に違和感を覚えた、なぜなら、私の実家にはリビングと呼べるほどの部屋はないはずだから。
居間の扉を開けると、1年ぶりに見る父親よりリフォームでキレイになっていた居間に目が行ってしまった。
彼に出すお茶を用意している時
私、「結婚にお金が掛かるのよ、外壁塗装と家のリフォームをして大丈夫なの?」
母親、「貴方を授かった時、いずれ結婚をすることは分かっていたから、結婚資金はずっと貯めていたから大丈夫よ」
そう言ってくれた母親だが、居間のリフォームをするために、家の塗装は外壁だけ、屋根まで塗装をするお金は工面出来なかったらしい。